結婚、出産、子育てなど、女性には人生における様々な転機があります。特に、社会に出て働きだしてからの20代、30代前半といった10年くらいの期間に、怒濤のように転機が訪れる女性は多いのではないでしょうか。
男女の雇用機会均等が求められてから久しいですが、いまだに、人生の転機を前に働き方を変えなくてはいけないのは女性の方が多いです。
この記事では、「人生の中での転機を考慮に入れながら、どうやってキャリアを作っていけばいいのか?」という疑問にお答えします。
この記事の内容
- 女性のキャリアとライフプランの関係
- キャリアに影響するライフイベント
- 自分らしいキャリアを築いていく方法
- 出産を経て180度変わってしまった私の体験談
女性のキャリアはライフプランと隣あわせ
20代でキャリアの土台を固め、30代でリーダーとしての基礎を固め、40代からはリーダーとして部下や後輩に働いてもらいながら大きなことを成し遂げる。40代後半〜50代からは経営トップに加わって、大きな組織を動かしていく。
時期は個人によって違うかも知れませんが、企業で働いていると、だいたいこんな感じのキャリアプランを求められます。
男性の場合は、能力さえあれば、このキャリアの電車に乗ることができます。
でも女性の場合、考慮しなければいけないのは、能力だけではありません。仕事以外の人生において、いつどんなことをしたいのかによって、キャリアの築き方が変わってきます。
ちょうど20代後半から30代前半の仕事が絶好調の時期に、結婚や出産、夫の転勤による引っ越しなどで、思い描いていた通りにキャリアを築けなくなったという女性はたくさんいます。
また、外的要因だけでなく、結婚や出産などの一大イベントを乗り越えたあと、自分の心境ががらっと変わってしまうこともあります。
このような現実があるため、女性がキャリアプランを考えるときに、キャリア以外のライフプランも一緒に考えていく必要があります。
キャリアに影響するライフイベントの数々
女性のキャリアに影響する大きなライフイベントとしては、
- 結婚
- 出産
- 育児
- 夫の転勤
- 親の介護
などが挙げられます。本当は、男性も同様に影響を受けるはずなのですが、やはり女性のほうが影響を受ける場合が多いようです。職場の男女平等が比較的進んでいるアメリカでも、そういう傾向が見られます。
特に、自分以外の他人の面倒を見なければいけない、出産、育児、介護。これがあるときは、夫婦二人ともが残業、出張バリバリの昔ながらのキャリアを犠牲にせずに乗り越えるというは、不可能に思います。
周りを見ていても、どれだけリベラルな考え方を持っているカップルでも、お金がありあまっていてお手伝いさんを複数雇える状態だったとしても、少なくとも数年間はどちらかのキャリアをペースダウンして乗り切るというのが主流です。
物理的に1日は24時間しかないのですから、その大半を仕事にかけていたら、他のことはできませんよね。
また、時間が足りない、人手が足りない、といった問題以外にも、女性は環境が変わって考え方が変わる人が多いように思います。私の周りでも、バリキャリで子供に全く興味がなかった人でも、子供ができたら人が変わったように「子供の幸せが一番大事」というようになる人がいました。
このように、将来有望な、優秀な女性でも、出産や旦那さんの転勤などを機に、仕事を辞めていった人が何人もいます。
一方で、女性でずっと企業のキャリアトラックにのって、いつでも残業、出張可能な人というのは、独身か、既婚で子供がいても旦那さんが働いていなかったりキャリアのペースダウン中だという人が多いです。
なぜかというと、アメリカも日本同様、いったんキャリアのレールから外れてしまうと、同じ所に戻るのは難しいという構造的な問題があるからです。
実際に、私も銀行で管理職をしていた頃、しばらく前線を離れていてまた復帰したいという女性をたくさん面接しました。その中には、当時の私の階級よりもっとシニアレベルの仕事をしていた人もいたのですが、そんな人たちがエントリーレベルに毛が生えたようなポジションに応募してくるのです。
もちろん、中には「子供がいるので責任ある仕事をしたくない」という理由でジュニアポジションを狙ってくる人もいました。でも、そういうポジションも「あまりにシニアな経験がある人は、現場で使えるかどうか分からない」という理由で、雇ってもらえなかったりします。
このように、自分の能力ややる気に関係ない、周りとの関係や、単に「使い方が分からない」といった事情によって、思ったような職場復帰が難しくなることもあります。
自分らしいキャリアを築いていく方法
では、どのように自分らしいキャリアを築いていけばいいのでしょうか。それには、スキルだけでなく、心理的な面でいくつかポイントがあります。
まず、スキルについては、以下の戦略を取ることができます。
1)仕事をしながら、専門性をみがく
- 財務のスペシャリスト
- 人事のスペシャリスト
- 広報のスペシャリスト
など、自分が今やっている仕事で専門性をつけられるところはどこかを考える。たとえば事務の仕事でも、「中小企業の事務一般ができるオフィスマネージャー」というような、自分なりの売りを常に考えながら仕事をして、その売りをより強めるためのプロジェクトや仕事を積極的に取りにいく。
2)専門性と同時に、他の職場にいっても通用するような能力を身につける。
- コミュニケーション能力
- マネージメント能力
- セールス
- 企画立案力
- オーガナイズ能力
など、汎用性のきく能力がこれにあたります。
こういったスキルを身につけながら仕事をしていると、将来転職する場合でも、または自分でビジネスをする場合でも、「自分の売り」になるものが1つや2つは必ず出てくるので、選択肢が増えます。
要は、自分の会社を経営していて、自分の「ブランド」を作っているという意識で仕事をするのです。
心理面では、以下の事が重要になります。
1)人と比べない。特に男性同期や女性でキラキラしてそうな人と比べない。
2)自分の選択に自信をもって、一度選択したら後悔しない。
3)一時的に失敗したと思っても、自分を責めない。人生に山があり谷があるのは普通です。
ただ、これを可能にするためには、前提があります。
自分が人生で何を求めているのか、何がプライオリティなのか、どういう状態を幸せだと思うのか、自分で自分のことをよく知っておかなければいけません。
やり方は色々あるのですが、日常的に自分の声に耳を傾ける、自分と対話をする、といった習慣をつけることが大切になります。
簡単なところではビジョンボードという方法があるので、こちらをご覧ください。
もちろん、人生で大事にしているものは、時とともに変わっていくかも知れません。ですので、一度ライフプランを立てたら終わりではなく、定期的に見直して行く必要があります。
そして、一番大事なのは、「人に依存しない」ということです。
「彼が結婚してくれたら、こうする」
「夫が子育てを手伝ってくれたら、こうする」
「親が援助してくれたら、こうする」
というような、他人に依存する条件のもとでのライフプランではなく、
「自分はこうしたいからこうする」
というライフプランを立てていくのです。
もちろん、実際には夫が転勤になったら自分の思い通りにはいかないかも知れません。でも、
「私は夫と一緒に幸せな家庭を築くのが一番大事だ」と普段からプライオリティが決まっていたら、自分がどう行動するのか、すぐに決められると思うのです。
逆に、「私はこの仕事が大事だから、単身赴任で行ってほしい」という選択でもいいと思います。
そして、何かあったとき、「私だけがこんな大変な思いをしている」「私だけが損をしている」と思わず、サポートしてくれる人を探すのも大事だと思います。
出産を経て180度変わった私の体験談
もしかすると誰かの役に立つかも知れないと思い、私の体験談を付け加えることにしました。
私は、学生の頃からキャリア志向で、企業の中で社長にのぼりつめるくらいまで成功をおさめる!と思って働いてきました。給料も何歳までには大台に乗せて、何歳までにはこの肩書きをもらって、とかなり野心的にゴール設定していました。
実際に、自分の思うようなキャリアも手に入りました。でも、そろそろ子供をうみたいと思って、出張のない仕事に転職したら、最初の妊娠で流産してしまったのです。しかも、出勤途中で出血して、会社に行ってトイレに駆け込むという結構ショックな体験でした。その職場自体を精神的に受け入れることができなくなり、しばらくしてから転職しました。
それから、かなり長い間かかってふたたび妊娠。苦労して出産したのに、産休は5ヶ月しか取れず、小さい赤ちゃんをナニーさんに預けて仕事に復帰しました。
職場は素晴らしかったのですが、子供がどんどんかわいくなっていく中、人に育児を任せて自分が仕事にいくのに、疑問を感じるようになりました。それまで、社会的な地位を得て、高い給料を得ることに価値を見いだしていましたが、そういうことに全く価値を見いだせなくなりました。ここで、180度くらい、価値観が転換しました。
昔は、出世が大事だったのに、今ではこれ以上責任を取りたくないので、上にいきたくありません。お給料が2倍に増えたとしても嫌です。子供ができるまでは、ひどいときは一日16時間労働をしても平気でしたが、今はきっちり定時に帰って子供と一緒の時間を過ごすほうが大事です。必然的に、「自分がやる価値が思える仕事」以外は、できるだけ断ることにしています。
10年前の私から考えたら、なんというやる気のなさ。多分、若いときの私が見たら、嫌になると思います。でも見方を変えれば、「都合のいい便利屋をやめた」とも言えます。
こういう転換は、私だけでなく、かなり多くの女性が同じことを言うので、珍しくはないんでしょう。
子供に関しては、ある程度大きくなったら、逆に「親以外に信頼できる大人のネットワークがある」というのは、子供にとっていいことなんだと気づきました。でもそこまで到達するには、かなりの時間を必要としました。
葛藤する中で、働くママのサポートグループに入ったり、専門の金融業界の女性のネットワークグループに入ったりして、同じような境遇の人と知り合う機会を増やしました。子育てだけではなく、自分のことを支えてくれる人たちとのネットワークを作っていくのは、大切だと思います。
今の私のボスは、10年くらい前から私のことを知っているのですが、「違う人かと思うくらい変わった」と言われます。
こんな風に、カフカの「変身」ばりに古い自分を脱ぎ捨てて、全く新しいパラダイムの中で生きて行くというのは、男性にはなかなかできない経験ではないでしょうか?
見方を変えれば、仕事だけでなく、色々なイベントに当事者として向き合わざるを得ない女性であるということは、人生2度おいしいとも言えます。
柔軟性の求められる女性のキャリアではありますが、本当に自分が欲しい物は何か?と立ち止まって考えるところから、キャリア戦略をはじめられてはいかがでしょうか。

ジャーナリングの魔法で人生を変えていきたい方へ
続けたら確実に人生が変わるジャーナリング。でも、いきなり始めても、どんなふうに書けばいいのか、分からない・・・という声を聞きます。そんなあなたのために、私が数年かけて改良し、今も使っているテンプレートをプレゼントします。
効果的なジャーナリングの方法を使って、毎日の集中力と充実度を上げませんか?毎日、意図を設定して生きることにより、生産性が高まり、日常が楽しくなっていきます。
ぜひお試しください。
ダウンロードする